なぜ「4大経営資源」の視点が重要なのか
事業継続力強化(ジギョケイ)の目的
「事業継続力強化」とは、自然災害や通信障害などの重大な事象が発生した際に、事業活動への影響を最小限にとどめ、早期に事業を継続・再開できる体制を整備することを指します。単に復旧ではなく、平時からの備えと実効性ある体制づくりが求められます。
リスク認識と影響想定のステップ
中小企業が適切な対策を講じるためには、まず発生しうるリスク(地震、水害、サイバー攻撃、感染症など)を洗い出し、事業活動への影響を具体的に想定する必要があります。
この影響想定を体系的に整理するための基本が、「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源の切り口です。それぞれの観点から被害想定と事前対策を記載することで、実効性の高い計画に仕上げることができます。
ヒト(人員)のリスク分析と事前対策
想定される影響(リスク分析)
- 従業員やその家族が被災し、出勤が困難になる。
- 感染症流行や交通インフラの麻痺により、必要な人員が確保できない。
- 特定の従業員しか担当できない業務があり、欠勤によって業務停止リスクが発生する。
実行すべき事前対策(人員体制の整備)
- 勤務ルールと参集体制の整備:災害発生時の勤務形態や連絡手段を定め、緊急参集要員を明確化。
- 多能工化の推進:従業員が複数業務を担当できるよう教育・マニュアル化を進める。
- 感染症対策:在宅勤務や時差出勤の仕組みを整え、他拠点との人員融通を可能にする。
モノ(建物・設備・インフラ)のリスク分析と事前対策
想定される影響(リスク分析)
- 建物や設備の損壊、在庫品の損失。
- 停電・断水・ガス供給停止による操業停止。
- サイバー攻撃による生産管理システムの停止や制御装置の誤作動。
実行すべき事前対策(設備の導入と保護)
- 防災・減災設備の導入:自家発電設備、止水板、排水ポンプ、免震装置などを整備。
- 設備の保護・分散配置:重要機器を高所設置・固定化し、浸水や地震に備える。
- 原材料の分散保管:主要な原材料や中間財を複数拠点で保管し、同時被災を防止。
カネ(資金繰り)のリスク分析と事前対策
想定される影響(リスク分析)
- 災害や営業停止により売上が途絶し、固定費(給与・賃料等)の支払いが継続。
- 設備や建物の復旧に多額の資金を要する。
- サイバー攻撃による損害賠償や信用失墜で経済的損失が発生。
実行すべき事前対策(リスクファイナンス)
- 保険・共済の見直し:火災保険・地震保険・休業補償などの補償範囲を確認し、必要に応じて加入。
- 資金調達ルートの確保:災害後に利用可能な融資制度や、金融機関とのコミットメントライン契約を整備。
- サイバー保険の活用:攻撃被害への補償、調査・修復費用をカバーする保険加入を検討。
情報(重要情報)のリスク分析と事前対策
想定される影響(リスク分析)
- 紙媒体の書類(契約書・設計図・会計帳簿等)が紛失・消失。
- 在宅勤務による情報漏洩。
- ランサムウェア感染により取引データが暗号化され、業務停止に陥る。
実行すべき事前対策(情報の保護)
- データの複製化・バックアップ:電子化とクラウド保存を進め、重要書類は複写を作成。
- 安全な保管体制:浸水のない高所保管やクラウド利用による遠隔保全を実施。
- 情報セキュリティ強化:「SECURITY ACTION」等の制度を活用し、社員教育とアクセス制御を徹底。
まとめ:4資源の相互依存を意識した計画を
ヒト・モノ・カネ・情報は相互に依存し合う資源です。どれか一つの被害が連鎖的に他の資源を脅かすことも少なくありません。
**「4資源をバランスよく守る設計」**こそが、事業継続力強化計画を実効性のあるものにします。
計画書作成時には、被害想定と対策を一覧化し、具体的な行動手順まで落とし込むことが重要です。
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