ハザードマップを使った自社リスクの見える化手順|事業継続力強化計画の第一歩

リスクの認識が事前対策の第一歩

中小企業の「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」は、自然災害や感染症、サイバー攻撃など、さまざまな脅威に備えるための計画です。
その出発点となるのが、自社がどのようなリスクにさらされているのかを正しく把握することです。

事業継続力強化におけるリスク認識の重要性

事業継続力強化とは、自然災害等による影響を軽減し、事業活動を継続できる能力を高めるための「事前準備」です。
適切な取組を行うためには、まず災害の種類と自社事業への影響を想定することが欠かせません。

ハザードマップ活用の義務

中小企業者は、地方自治体や国が公開するハザードマップ・全国地震動予測地図を活用し、自社が置かれた環境を分析することが求められます。
特に、災害の「位置情報リスク」を正確に把握することが、対策の優先順位づけに直結します。

想定すべきリスクの広がり

洪水・土砂災害・地震・津波などの自然災害だけでなく、サイバー攻撃や感染症の流行など、社会的リスクも含めて想定することが重要です。
これらは事業停止や人員不足など、経営のあらゆる側面に影響を及ぼします。


STEP 1:自社拠点の「事象リスク」を特定する

必要な情報源の入手

まずは、地方公共団体が提供するハザードマップを入手します。
洪水・土砂災害・高潮・津波などの各種災害に対応する地図を確認し、国が公表する「全国地震動予測地図」も併用して、最新のリスク情報を収集します。

拠点ごとのリスク確認

複数拠点を持つ事業者は、拠点ごとにリスクを整理することが必要です。
例えば、同じ県内でも沿岸部と内陸部では洪水や地震のリスクが大きく異なります。過去の被害履歴や地域特性も踏まえた分析が有効です。

甚大な影響を与える事象の特定

収集した情報に基づき、自社の事業活動に甚大な影響を与える自然災害を一つ以上特定します。
地震であれば「想定震度」、水害であれば「浸水予想高さ」など、具体的な数値を記載することで、リスクの実感と対策の方向性が明確になります。


STEP 2:リスクと脆弱性の掛け合わせ(影響の想定)

影響想定の前提条件

自然災害の発生規模や時間帯によって、被害の大きさは変わります。
夜間や休日の発生を想定するなど、より厳しい条件での被害想定を行うことが、実効性ある備えにつながります。

自社の「脆弱性」を検討する

リスクは環境要因だけではなく、**自社の備えの弱さ(脆弱性)**によっても被害の大きさが変わります。
たとえば、建物が旧耐震基準のままであったり、浸水対策が未実施の場合は、被害の想定をより慎重に行う必要があります。

四つの経営資源への影響分析(見える化の実行)

「事業継続力強化計画」の策定指針では、リスクを次の4つの経営資源の観点から整理することが推奨されています。

  1. 人員への影響
     従業員の出勤困難、感染症による欠勤、担当業務の継続不能など。
  2. 建物・設備への影響
     建物や設備の損壊、電力・通信等インフラ停止による操業不能。
  3. 資金繰りへの影響
     売上減少、固定費支払いの継続、復旧費用の発生による資金逼迫。
  4. 情報への影響
     設計図や顧客情報の喪失、在宅勤務時の情報漏洩リスクなど。

この分析を通じて、自社のどの部分が最も被害を受けやすいかを見える化します。


まとめ:リスク認識から事前対策へ

計画策定の次のステップ

リスク認識と影響想定が整理できたら、次はそれを踏まえた具体的な対策の設計に進みます。
たとえば、「人員確保」「資金調達」「代替手段の確保」など、各リスクに応じた対応を明文化していきます。

実効性のある対策の実施

認識したリスクに対して、次のような実行策を検討します。

  • 水害対策として止水板や排水ポンプの導入
  • 地震対策として制震・免震装置の設置
  • 資金繰り対策として保険や融資制度の活用

これらの取組は、単なる形式的な計画ではなく、「自社を守る行動計画」そのものです。
ハザードマップを活用したリスクの見える化は、ジギョケイ策定の土台として欠かせないステップです。

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