なぜ計画の「実効性」を確保しなければならないのか
事業継続力強化(ジギョケイ)は、自然災害等が発生した際に、その影響を軽減し、事業活動を継続するための能力を高める取り組みです。
単に計画を作成するだけでは不十分であり、**実際に機能する「実効性のある計画」**にするための継続的な訓練・教育が不可欠です。
計画の実効性を確保するための取組は、**平時から推進体制を整備する段階(STEP5:平時の推進体制)**として位置づけられています。
経営層の主導のもと、全社的な理解と訓練を進めることが、緊急時の確実な対応につながります。
推進体制の構築:経営層の主導と責任者の明確化
経営層の主導的な役割
訓練・教育・見直しといった「実効性確保の取組」は、経営者が中心となって推進する必要があります。
代表取締役の指揮の下で訓練を実施することが推奨され、経営層が自ら参加することで、従業員全体に対する意識づけ効果も高まります。
責任体制の明確化
経営者またはそれに準ずる者を責任者に任命し、明確な推進体制を構築します。
管理職による「防災・減災対策会議」等を設け、具体的な取組や改善方針を定期的に協議する体制が有効です。
また、非常時に責任者が不在の場合に備え、**代行者(副責任者)**をあらかじめ定め、意思決定が途絶しない仕組みを整える必要があります。
計画内容の社内共有の徹底
策定した事業継続力強化計画は、一部の担当者に留めず、社内全体で共有します。
たとえば「自家発電設備を設置した目的」や「通信機能維持のための措置」などを具体的に説明し、従業員が自分の役割を理解できるようにします。
訓練と教育の実施:初動対応の円滑化を目指す
訓練・教育の頻度
従業員を対象とした訓練・教育は、年1回以上の定期実施が求められます。
訓練結果は、後述する見直しの指針としても活用します。
訓練・教育の目的と内容
訓練・教育の目的は、自然災害発生時の初動対応を円滑に実行できるようにすることです。
経営者自らが従業員に計画の進捗や問題点を共有し、社内研修や掲示を通じて理解を深めます。
具体的な訓練例:
- 安否確認訓練(安否確認システムの操作方法を周知)
- 避難・救出訓練
- 生産設備の緊急停止手順の確認
- 代表取締役も参加するサイバー攻撃対応訓練
教育活動の例:
- 感染症対策教育(手洗い徹底・予防接種の推奨)
- 情報セキュリティ研修(不審メール・データ漏洩対応)
- 計画内容の説明会・ポスター掲示など
計画内容の周知方法
行動手順を携帯しやすいハンドブック形式にまとめたり、従業員が日常的に目にする場所(休憩室・社内掲示板等)に掲示することで、意識の定着を図ります。
計画の見直し:3年サイクルと継続的改善
計画の見直しのタイミング
事業継続計画は策定後も環境変化に応じて更新する必要があります。
少なくとも年1回以上、訓練結果や組織体制の変化を踏まえた見直しを行います。
経営環境や災害リスクの変化が生じた場合には、計画期間の満了を待たずに変更申請を検討します。
計画期間と更新
事業継続力強化計画の期間は3年以内と定められています。
更新時には「実施状況報告書」を提出し、取り組み状況を整理する必要があります。
報告書の主な内容:
- 計画通りに実施できた項目(○)・未実施項目(△・×)の整理
- 未達成項目の理由
- 改善方針・着手予定時期の明記
この継続的改善こそが、計画の「実効性」を高める重要なプロセスです。
まとめ
平時の訓練と教育は、緊急時における行動の精度を左右します。
経営層が中心となって責任体制を構築し、全社員が自らの役割を理解する環境を整えることが、真の事業継続力強化につながります。
また、訓練の記録と見直しを繰り返すことで、実効性の高い計画へと成熟していきます。
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