事業継続力強化計画(ジギョケイ)の期間規定
事業継続力強化計画(ジギョケイ) は、自然災害や感染症の拡大といったリスクに備えて、中小企業が自社の防災・減災体制を明確にするための制度です。
この制度の特徴は、「策定して終わり」ではなく、継続的な見直しと改善が求められる点にあります。
計画期間は、単独型・連携型を問わず3年以内と定められています。
期間中に設定した取組内容を実施し、必要に応じて見直しを行うことが、制度の実効性を確保するうえで不可欠です。
ジギョケイは、将来に向けた災害対策の実施計画でもあり、認定後も継続的な改善を通じて「生きた計画」として運用することが求められます。
計画の実行と「平時の推進体制」による実効性の確保
実効性確保の重要性
事業継続力強化計画は、単なる書面上の整備ではなく、実際の災害時に有効に機能する体制を構築することが目的です。
そのためには、経営層が主導し、平時からの推進体制を整備しておくことが重要です。
平時における推進体制の具体的な取り組み
- 訓練および教育の実施
従業員を対象とした防災訓練や教育を年1回以上実施します。これは、初動対応の迅速化と従業員の安全確保に直結する取り組みです。 - 経営層の関与
経営者またはそれに準ずる者を責任者として任命し、推進体制を確立します。訓練や教育の実施は代表取締役の指揮下で行うことが望ましく、経営判断の一部として防災を位置づけます。 - 情報共有の徹底
計画内容や防災設備の設置目的(制震・免震装置、自家発電設備など)は、特定部門だけでなく全社員に周知することが求められます。これにより、非常時の混乱防止と円滑な対応が可能になります。
計画の見直しと更新のタイミング
定期的な見直しの義務
計画期間中は、経営環境の変化や訓練の実施状況を踏まえ、年1回以上の見直しが必要です。
これは、法律上の義務ではなくとも、制度運用上強く推奨されるプロセスです。
想定外の災害、事業構造の変化、新設備の導入など、リスク要因が変動した場合には、期間満了を待たずに随時見直しを行うことが望まれます。
計画期間満了後の更新(2回目以降の申請)
認定期間の満了後に再度認定を受ける場合は、**「新規申請(2回目以降)」として電子申請システムから手続きを行います。
この際には、前回の計画に基づく成果をまとめた「実施状況報告書」**の提出が求められます。
報告書では、計画で掲げた取組の実施状況や、未達成の項目についての改善方針を明確に記載する必要があります。
見直しが求められる状況(変更申請)
次のような場合には、期間途中でも変更申請を行うことが推奨されます。
- 自然災害や感染症など、想定するリスクが変化した場合
- 事業規模の拡大や組織改編により、体制や設備に変更が生じた場合
- 防災訓練結果に基づき、課題や改善点が明らかになった場合
変更申請の際には、以下の書類が必要です。
- 実施状況報告書
- 変更箇所に下線を引いた変更申請書
- 変更前の認定書および計画の写し
また、実施状況報告書において「△」「×」または「未着手(−)」と評価した項目がある場合には、
その理由や今後の改善方針、着手予定時期を明確に記載することが求められます。
更新サイクルの管理と計画の発展
継続的な改善の視点
ジギョケイの運用は、PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Act)によって継続的に改善を図ることが前提とされています。
訓練結果や見直しの内容をもとに、次年度計画の策定に反映させることで、防災体制の成熟度を高めることができます。
2回目以降の申請に向けた準備
更新にあたっては、前回の計画で未達成となった項目(例:設備導入の遅延、訓練未実施など)を正確に整理し、
**「今後の改善方針」および「実施予定時期」**を報告書に明記することが重要です。
これにより、再認定審査時における信頼性が向上し、計画の継続的発展につながります。
まとめ
事業継続力強化計画の有効期間は3年以内と定められていますが、制度の本質は「策定よりも運用・改善」にあります。
定期的な訓練と見直しを通じて、経営層が中心となる推進体制を維持することが、真に災害に強い企業への第一歩です。
認定の更新を単なる形式的手続きではなく、自社の成長戦略の一環として捉え、3年サイクルでの改善を積み重ねていくことが求められます。
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