迅速な情報共有が事業継続の鍵
自然災害等が発生した場合、初動対応を的確に行うことは、事業活動の継続に向けた第一歩となります。
この初動対応には「人命の安全確保」「緊急時体制の構築」に加えて、被害状況の把握と被害情報の共有が含まれます。
被害情報を正確かつ迅速に共有できる体制を整えることで、復旧へのスピードと信頼性が大きく変わります。
STEP 1:何を、誰に、いつ共有するか(情報の決定と共有先の特定)
把握すべき被害情報の決定
自然災害等が発生した場合、共有すべき情報はあらかじめ定めておく必要があります。
主な項目は以下の通りです。
- 施設や設備の被害状況
- 在庫・中間財・原材料への影響
- 生産・出荷活動の停止・遅延の有無
- 人員配置や通勤状況に関する影響
これらを平時から整理しておくことで、混乱時でも必要な情報を漏れなく把握できます。
社内での情報確認手順の整理
被害情報を「誰が」「どのように」「いつまでに」確認し、社内のどこへ伝えるのかを明確にしておくことが重要です。
情報が集中・分散しないよう、報告経路を一本化したルールを作成します。
社外への報告先リストの整備
以下のような外部機関・関係者へ迅速に連絡できるよう、最新の連絡先リストを整備しておきましょう。
- 主要顧客・取引業者
- 地元自治体(市役所・防災課など)
- 商工団体・商工会議所
- 警察・消防
- 指定公共機関(電力・ガス・水道など)
感染症発生時には、保健所等への連絡先を追加しておくことも必要です。
被害情報共有の目標時期
被害状況の確認および顧客・取引先への第一報は、発災後12時間以内など、時間目標を設定することで実効性が高まります。
STEP 2:迅速な情報伝達を実現するツール選び
安否確認と初動連絡のためのツール
災害時の混乱を最小化するためには、安否確認の仕組みを平時から整えておくことが不可欠です。
代表的なツールには以下があります。
- 災害用伝言ダイヤル「171」
- 携帯キャリア各社の「災害用伝言板」
- LINEやSNSを利用した安否確認システム
- 専用の安否確認アプリ(企業向けクラウド型など)
従業員に登録・利用方法を周知し、定期的に訓練を行うことが重要です。
途絶に備えた複数の通信手段の確保
災害時には通信障害が発生する可能性が高く、冗長性のある通信手段を確保する必要があります。
- 携帯電話(異なるキャリアを複数保有)
- IP電話・VoIP(Skype・LINE通話等)
- MCA無線・衛星携帯電話
- クラウド型ビジネスチャット(Teams・Slack等)
複数手段を併用できる体制を構築し、どの経路が優先されるかを明確にしておくことが望まれます。
対外的な情報発信ツールの選定
顧客や関係機関に対して、被害状況や復旧見通しを正確に伝えるための公式ルートを整備します。
- 公式ホームページ(HP)での告知
- SNS(X、Facebook等)の活用
- メールマガジンや一斉送信システム
複数担当者が更新可能な体制にしておくことで、担当者不在時も途絶を防げます。
連絡文書の雛形の準備
外部向けに発信する連絡文書のテンプレートをあらかじめ用意しておくと、緊急時に迅速な対応が可能です。
例)「災害発生に伴う営業再開予定のお知らせ」「被害状況のご報告」など。
STEP 3:連携時の情報共有と体制の確立
連携事業者間の情報共有ルール
連携事業継続力強化計画を策定している場合、複数の事業者間で情報共有の方法や窓口の一元化を定めておく必要があります。
事前に責任者と代行者を指定し、共通の連絡ルールを整備しておきましょう。
公的機関からの情報入手手段
的確な判断を行うためには、信頼性の高い公的情報を迅速に取得することが重要です。
- 気象庁公式サイト(特別警報・地震情報)
- 国土交通省ハザードマップポータル
- 各自治体の防災ポータルサイト
これらをブックマーク登録し、定期的な確認を習慣化しておくと良いでしょう。
情報セキュリティ規程の整備
サイバー攻撃等による被害が発生した場合に備え、初動対応や報告手順、対外公表の方針を明記した**「情報セキュリティ関連規程」**を整備します。
情報漏えい時の報告ルートや責任者を明確化することで、被害拡大を防止できます。
計画の実効性確保
訓練と見直し
計画を策定するだけでは不十分です。実効性を高めるために、定期的な訓練・教育を実施します。
- 災害対策本部体制の設置訓練
- 被害情報の共有訓練(社内・社外報告の模擬実施)
- 通信ツールの操作確認
- 年1回以上の見直し・改善
訓練結果を踏まえ、手順書や連絡体制を継続的に改善することが重要です。
まとめ
被害情報の迅速な共有は、事業継続の成否を左右する重要な要素です。
「何を・誰に・いつ・どの手段で伝えるか」を明確化し、ツールや手順を平時から整備しておくことで、緊急時にも混乱なく対応できます。
また、定期的な訓練によって実効性を高め、「伝える力」そのものを組織の防災力とすることが、真のBCP運用につながります。
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