なぜ非常時体制の整備が初動対応に不可欠なのか
自然災害等が発生した場合、初動対応を的確に行うことは、事業活動の継続に向けた第一歩です。
特に「人命の安全確保」の後には、**非常時の緊急時体制(災害対策本部)**を速やかに構築し、状況変化に即応できる意思決定の仕組みを整えることが求められます。
災害対策本部の構築と移行基準(設置基準)
緊急時体制の構築方法
災害発生時には、被災状況に応じて迅速に意思決定できるよう、あらかじめ災害対策本部の設置方法・構成・班ごとの役割を定めておきます。
たとえば、以下のような班構成を設定しておくと実務的です。
- 総務・人事班:従業員の安否確認、出勤管理
- 設備・復旧班:建物・インフラの被害確認と復旧手配
- 情報・連絡班:本部内外への連絡・報告体制の確立
- 物資班:非常用物資や燃料・水などの確保と供給管理
移行基準の策定
緊急時体制に移行する明確な基準を設けておくことが不可欠です。
たとえば次のような基準が代表的です。
- 主要拠点のある地域で震度6弱以上の地震が発生した場合
- 災害救助法が適用される規模の豪雨災害が発生した場合
- 気象庁の特別警報が発表された場合
- 本部長が必要と認めたとき(水害・停電・感染症なども含む)
社内周知の方法
体制移行後は、全従業員へ速やかに「緊急時体制に移行した」ことを通知する仕組みを整えます。
メール・社内チャット・掲示板など複数ルートでの周知が望まれます。
責任者と代行権限の定め方
責任者の決定
災害発生時の責任者(災害対策本部長)は、通常は代表取締役や事業所長などが担います。
平常時から代行順位を明確にし、**「誰が指揮を執るのか」**を全従業員に共有しておくことが重要です。
代行者の決定(代行権限の定め方)
責任者が不在・負傷・通信断絶などで対応できない場合に備え、代行権限者の決定方法を明確に定めておきます。
例:
- 第1代行者:副社長または統括部長
- 第2代行者:各拠点の管理職(地域責任者)
- 第3代行者:現場責任者(課長クラス)
このように「指揮系統を3層構造で定めておく」と混乱を防げます。
サイバー・感染症対策における責任体制
災害以外にも、サイバー攻撃や感染症のような事業停止リスクが存在します。
それぞれの性質に応じた責任体制を整えておきましょう。
- 感染症対策本部:人事・産業医・保健師等を含む構成
- サイバー対策本部:代表取締役を情報セキュリティ責任者とし、社内報告ルートを明記した「情報セキュリティ規程」を整備
初動対応における情報共有と実効性の確保
被害情報の共有と連絡体制
災害対策本部では、被災状況や復旧見通しを取引先・自治体・商工団体等へ報告します。
連携型の計画を採用する場合は、対外的な窓口の一元化を図ることで、情報伝達の重複や遅延を防ぎます。
訓練による実効性の確保
計画は策定だけでなく、年1回以上の訓練によって実効性を検証する必要があります。
訓練内容には次を含めます。
- 災害対策本部の設置訓練
- 各班の行動確認・代行者の指揮訓練
- 連絡体制・報告ルートの確認
- 想定シナリオを用いた総合訓練(地震・豪雨・感染症など)
まとめ
災害対策本部の設置と代行権限の整備は、「初動対応の中核」です。
指揮命令系統を明確にし、移行基準を具体化しておくことで、非常時でも混乱を最小限に抑えられます。
また、訓練によって実効性を高め、「誰が、いつ、どのように」動くかを常に確認しておくことが事業継続力の鍵となります。
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