特定性犯罪とは
「特定性犯罪」とは、日本版DBS(こども性暴力防止法)において、教員等または教育保育等従事者に対する「犯罪事実確認」の対象となる性犯罪を指します。この犯罪事実確認により、従事者が特定性犯罪を犯した「特定性犯罪事実該当者」であるか否かが確認されます。
1. 特定性犯罪として定められている主な罪種
特定性犯罪として定められている罪種は、主に以下の法律および条例に基づくものです。
(1)刑法等に定める罪
- 刑法:不同意わいせつ罪(第176条)、不同意性交等罪(第177条)、16歳未満の者に対する面会要求等(第182条)などが含まれます。
- 児童ポルノ法:児童買春、児童ポルノの所持・提供等、児童買春等目的人身売買等に関する罪(第4条から第8条まで)が対象です。
- 性的姿態撮影等処罰法:性的姿態等撮影、性的影像記録提供等に関する罪(第2条から第6条まで)などが含まれます。
- 児童福祉法:児童に淫行をさせる罪(第60条第1項)が対象です。
(2)都道府県の条例で定める罪
法律に定められる罪のほか、都道府県の条例で定められる罪であって、政令で定めるものも特定性犯罪に含まれます。これらは主に、次のような行為を罰する罪とされています。
- みだりに人の身体の一部に接触する行為。
- 正当な理由がなく、人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体をのぞき見し、撮影し、又は撮影目的で機器を差し向ける行為(盗撮等)。
- みだりに卑わいな言動をする行為。
- 児童と性交し、又は児童に対しわいせつな行為をする行為。
これらの罪は、各都道府県の迷惑防止条例や青少年健全育成条例に基づくものが該当すると考えられています。
2. 特定性犯罪事実該当者となる期間
特定性犯罪を犯した者が「特定性犯罪事実該当者」として犯罪事実確認の対象となる期間には、以下の時限が設けられています。
- 拘禁刑(懲役・禁錮):その執行終了等から20年を経過しない者。
- 拘禁刑の執行猶予者:裁判確定日から10年を経過しない者。
- 罰金刑:その執行終了等から10年を経過しない者。
3. 特定性犯罪事実該当者と防止措置の関係
犯罪事実確認の結果、従事者が特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、対象事業者は、その者による児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めることになります。そのうえで、原則として、当該従事者を対象業務に従事させないことが防止措置として求められます。
このように、日本版DBSにおける特定性犯罪の概念は、児童の安全を最優先としつつ、具体的な罪種と経過期間を明確に定めることで、事業者による雇用管理と防止措置の判断基準として機能するものです。