制度概要

日本版DBSとは

「日本版DBS」とは、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(令和6年法律第69号。以下「法」という)の通称です。本法は、児童対象性暴力等が児童等の権利を著しく侵害し、心身に回復し難い重大な影響を与えることに鑑み、防止措置等を定めることで、児童等の心身の健全な発達に寄与することを目的としています。法の施行期日は令和8年12月25日とされています。

1. 制度の対象事業者

本制度の対象となる事業者は、負うべき責務に応じて大きく二つに分類されます。

  • 学校設置者等(義務対象):学校、児童福祉施設等、法で義務対象となる事業者です。これには、学校教育法に基づく幼稚園、小学校、高等学校、高等専門学校などが含まれます。
  • 民間教育保育等事業者(認定対象):学習塾、放課後児童健全育成事業、認可外保育事業等、法で認定等の対象となる事業者です。民間教育保育等事業者は、学校設置者等が講ずべき措置と同等のものを実施する体制が確保されている旨の内閣総理大臣の認定を受けることができます。

2. 対象事業者が講ずべき4つの主要な措置

法において、対象事業者(学校設置者等および認定を受けた民間教育保育等事業者)が講ずべき措置等は、主に以下の4つです。

  1. 安全確保措置(早期把握、相談、調査、保護・支援、研修):事業所における児童対象性暴力等の未然防止・発生時対応を適切に行うための措置です。具体的には、児童等に対する日常観察や定期的な面談・アンケート、適切な報告・対応ルールの策定・周知などが含まれます。
  2. 犯罪事実確認:教員等または教育保育等従事者(以下「対象業務従事者」という)が、過去に特定性犯罪を犯した特定性犯罪事実該当者であるか否かを、国が提供する犯罪事実確認書により確認する仕組みです。
  3. 防止措置:上記1の調査等や2の犯罪事実確認の結果等を踏まえた、児童対象性暴力等の防止のための措置(雇用管理上の措置等)の実施です。
  4. 情報管理措置:犯罪事実確認記録等(犯罪事実確認書およびその記録)を適正に管理するための措置です。

3. 認定を受けるための体制(民間事業者)

民間教育保育等事業者が認定を受けるためには、上記4つの措置を適切に実施する体制を確保する必要があります。特に以下の基準への適合が求められます。

  • 犯罪事実確認体制の整備:犯罪事実確認を適切に実施するための体制を備えていること。
  • 規程の作成:「防止措置」、「児童対象性暴力等の調査」、「児童等の保護及び支援」に関する措置を定めた児童対象性暴力等対処規程を作成していること。
  • 情報管理措置の実施:犯罪事実確認記録等を適正に管理するために必要な措置(情報管理規程の策定、管理責任者の設置、教育保育等従事者が2人以上であることなど)を講じていること。
制度概要

日本版DBS(こども性暴力防止法):特定性犯罪における都道府県条例の対象範囲

こども性暴力防止法において、特定性犯罪(法第2条第7項)には、刑法等の法律で定められる罪に加え、都道府県の条例で定められる罪(法第2条第7項第6号)が含まれます。この条例で定める罪として政令で定められるものの範囲は、以下の四つの行為のいずれ...