直ちに報告する義務と「重大性」の定義
こども性暴力防止法(日本版DBS)では、犯罪事実確認記録等(犯歴情報)の漏えいなどの重大事態が発生した場合、事業者は国(こども家庭庁)に直ちに報告する義務があります(法第13条、法第27条第2項)。
ガイドラインでは、この「直ちに報告」とは、事業者が事態を知った日から概ね3~5日以内とされています。しかし、特に重大性が高い事案については、可能な限り早く報告することが望ましいとされ、事実上、3日未満での対応が求められます。
本記事では、重大性が高い事案の具体的なケースと、その報告が事業運営に直結する理由を解説します。
重大性が高い事案の類型 I:情報の機微性による分類
特定性犯罪の事実の有無という核となる情報が漏えいした場合、事態の重大性は極めて高いと判断されます。
- 具体的な事由:特定性犯罪事実がある旨の情報の漏えい(口頭も含む)
- 口頭漏えいも対象となる理由:犯歴情報は媒体(紙、電子データ、口頭)に関わらず機微性が極めて高く、情報の形式を問わず、漏えいした時点で迅速な報告が求められる
- 報告対象情報の範囲:犯罪事実確認書に記載された記録だけでなく、防止措置の検討・実施のために従事者本人から面談等で取得した**「特定性犯罪事実関連情報」**(犯罪の具体的行為内容や背景事情など)の漏えいも含まれる
重大性が高い事案の類型 II:規模の大きさによる分類
個人情報そのものが漏えいしていなくても、漏えいした記録の数が多い場合も、重大事案に該当します。
- 具体的な事由:多数の犯罪事実確認記録等の漏えい(100人以上など)
- 法的背景:個人情報保護法における報告対象(千人を超える個人データ)を基礎に、DBS制度の特殊性(児童の安全確保)を踏まえ定められた基準
- 除外されるケース:漏えいした情報だけでは個人を識別できない場合や情報の滅失・毀損は重大事態には該当しない
重大事態報告の義務と未対応のリスク
重大事態が発生した場合、事業者には「速報」と「確報」の二段階の報告義務があります。
報告の流れと期間
- 速報(直ちの報告):把握している事項を、3~5日以内に特定の報告フォームで報告
- 確報:原因究明、再発防止策、本人への対応状況など必要な事項を、原則30日以内に報告。
- 不正目的による漏えいの場合は60日以内
法令違反と事業運営への影響
- 監督措置:重大事態報告を受け、情報管理が不適正と認められた場合、国は是正命令を行える
- 事業停止リスク:是正命令が講じられるまで、犯罪事実確認書の交付は行われず、新規採用や異動、5年ごとの再確認が滞り事業運営に著しい支障
- 罰則:認定事業者等が重大事態報告義務に違反すると、認定取消事由となる
まとめ:スピードと情報管理体制の構築
- 特定性犯罪事実の漏えい(口頭含む)や100人以上の記録漏えいといった「重大性が高い事案」は、**直ちに(3~5日以内、可能な限り早く)**国に報告することが義務付けられており、事業継続のために最優先で対応すべき事項
- 事業者は、迅速な報告を可能にするため、情報管理規程で漏えい発生時の緊急連絡体制と報告ルートを明確に定める必要がある
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