日本版DBS(こども性暴力防止法)における厳格な時間管理:犯歴情報漏洩時の「直ちの報告」と3~5日ルール

なぜ報告期限が厳密に定められるのか

こども性暴力防止法(日本版DBS)第13条に基づき、犯罪事実確認実施者等(事業者)は、犯罪事実確認記録等(犯歴情報)の漏えいなど、管理が適正に行われていない重大な事態が発生した場合、内閣総理大臣(こども家庭庁)に**「直ちに」報告**する義務を負っています。この義務は、個人の権利利益を保護するとともに、制度全体の信頼性を維持するために設けられています。

行政手続における「直ちに」という表現は曖昧になりやすいものですが、本制度ではガイドラインにより、具体的な期限が示されています。

「直ちに報告」の具体的期限:3~5日ルール

ガイドラインでは、「直ちに報告」とは、事業者が事態を知った日から起算して3~5日以内と定められています。この期間設定は、個人情報保護法における重大な個人データ漏えい時の速報(概ね3~5日以内)と整合しています。

迅速な報告が求められる理由は、被害の拡大防止と再発防止です。事態を早期に把握し、適切な対応を行うことで、児童や関係者の安全確保につながります。

二段階報告の義務:速報と確報

重大事態が発生した場合、事業者には速報確報の二段階で報告する義務があります。

  • 速報(直ちに報告)
    • 期限:事業者が事態を知った日から概ね3~5日以内
    • 内容:現時点で把握している情報(概要、発生日、漏えい情報の項目、影響を受けた本人の数など)を報告フォームを通じて提出
  • 確報
    • 期限:事態発覚から30日以内(例外的に、不正目的による漏えいの場合は60日以内)
    • 内容:原因究明、二次被害の有無、本人への対応状況、再発防止措置など府令で定められた必要事項を報告

「重大性が高い事案」とは

3~5日ルールが原則ですが、特に重大性が高い事案については、可能な限り早期の報告が求められます。具体的には以下のようなケースです。

  • 犯歴情報の漏えい:特定性犯罪事実がある旨の情報漏えい(口頭によるものも含む)
  • 多数の記録が漏えい:100件以上の犯罪事実確認記録等が漏えいした場合
  • 対象情報:犯罪事実確認記録に加え、面談等で取得した特定性犯罪事実関連情報も含まれる

情報の機微性が極めて高いため、迅速な報告体制が不可欠です。

報告を怠った場合のリスクと監督体制

  • 認定取消事由:重大事態報告義務に違反した場合、認定事業者等は認定取消事由となります
  • 是正命令と確認書交付停止:情報管理が不適切と認められた場合、内閣総理大臣(こども家庭庁)は是正命令を発出。是正措置完了まで、犯罪事実確認書の交付は停止されます
  • 報告方法:原則、特定の報告フォームを使用

まとめ:安全性を支えるスピード

事業者は、犯歴情報漏えいなどの機微情報事案を知った時点から、3~5日以内に速報を行う厳格な義務を負います。特に、犯歴情報の有無が漏れた場合や、100人以上の記録が漏えいした場合は、極めて重大な事案として、可能な限り迅速な報告体制の整備が必要です。これは法令遵守のみならず、事業継続と児童の安全確保のためにも不可欠です。

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