「面談で得られた詳細情報」の漏洩が重大事態報告義務の対象となる理由—日本版DBSにおける厳格な情報保護

確認記録と追加情報 — 情報の二層構造

こども性暴力防止法において、犯罪事実確認記録等(確認書およびそれに係る記録)は、目的外利用や第三者提供が原則禁止された機微性の高い情報です。
事業者は、この確認記録等に漏えい等の重大事態が生じた場合、直ちにこども家庭庁へ報告する義務があります(法第13条)。

一方で、確認記録には特定性犯罪の有無や刑区分、裁判確定日など限定的な情報しか含まれません。
そのため、防止措置(配置転換や指導等)の適切な検討・実施には、従事者本人との面談を通じて、犯罪の具体的行為内容や背景事情、反省の認識といった詳細な情報が必要になる場合があります。
これが「特定性犯罪事実関連情報」と呼ばれる追加情報であり、漏えい時にも重大事態報告の対象となります。

特定性犯罪事実関連情報の定義と取得目的

定義

特定性犯罪事実関連情報とは、犯罪事実確認記録等だけでは十分でない、具体的な行為内容・背景事情・反省の認識など、対象業務従事者から追加的に取得される犯罪に関わる情報です。

取得の法的根拠と利用制限

この情報は、法第6条に定める防止措置の検討・実施を目的として取得されるため、目的内利用として認められています。
しかし、犯罪経歴に関わる情報を含むため、個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当し、取得・管理には厳格な対応が求められます。

漏えい時に重大事態報告が義務付けられる理由

情報の機微性

特定性犯罪事実関連情報は、犯罪事実確認記録等と同等以上の機微性を持つ情報です。
漏えいした場合、従事者本人の権利利益を害するおそれが大きく、個人情報保護法上も報告対象に該当します。

制度の信頼性維持

この情報の漏えいは、制度自体への信頼を損なう可能性があります。
また、確認記録等と取り扱う場面や担当者が重なることが多いため、関連情報の漏えいは確認記録等の管理不備も示唆します。
国(こども家庭庁)は、被害拡大防止と再発防止のため、関連情報を報告対象に含めています。

報告対象の明確化

内閣府令では、重大事態として報告を要する情報の類型に、特定性犯罪事実関連情報の漏えい等が含まれています。
高度な暗号化措置を講じている場合を除き、漏えいは速やかに報告される必要があります。

情報管理と廃棄における特則

厳格な管理の徹底

特定性犯罪事実関連情報は犯罪事実確認記録等ではありませんが、同等に厳格な管理が求められます。
情報管理規程には、この機微性の高い情報も同様に取り扱う旨を盛り込み、漏えい時の対応体制や研修内容も整備する必要があります。

廃棄義務の解釈

犯罪事実確認記録等は、離職後30日以内など法定期限に従って廃棄する義務があります(法第38条)。
一方、特定性犯罪事実関連情報は法的な廃棄義務の適用はありませんが、不要になった時点で復元不可能な形で確実に消去することがガイドラインで求められます。

まとめ:安全確保とプライバシー保護の両立

面談等で得られる「特定性犯罪事実関連情報」の漏えいも重大事態報告の対象に含まれることは、児童の安全確保と従事者のプライバシー保護を両立させるための安全網です。
事業者は、確認記録だけでなく、面談で取得した関連情報も同等以上に厳格に管理することで、法令遵守と児童の安全確保を徹底する必要があります。

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