民間教育事業における「標準的な修業期間」と「指導者数」の要件とは

こども性暴力防止法では、学校や保育施設のほか、学習塾やスポーツクラブ、ダンススクールなどの「民間教育事業」も認定対象として位置づけられています。
これらの事業は、法律上明確な定義が存在しないため、法の目的である「児童への安全確保措置」を適切に適用するために、一定の基準が設けられています。
ここでは、そのうち「標準的な修業期間」と「指導を行う者の人数」に関する要件を詳しく見ていきます。


標準的な修業期間に関する要件(継続性の観点)

要件の内容

民間教育事業の要件の一つとして、技芸や知識の習得を目的とする場合、標準的な修業期間が6か月以上であることが定められています(要件②、法第2条第5項第3号イ)。

趣旨と具体的な解釈

この要件は、「一定の継続性をもつ教育活動」であることを前提としています。
単発のイベントや短期間の講座ではなく、継続的に児童と関わる事業であるかどうかが判断の基準となります。

具体的には、次の3点すべてを満たすことが求められます。

  1. 6か月以上の期間にわたり事業を実施していること。
  2. その期間中に複数回、児童等に対して指導を行っていること(開催間隔は問われない)。
  3. 同一の児童が、期間中に複数回参加できる仕組みになっていること。

対象となる具体例

  • 月1回や週2回など、定期的な指導を行い、同じ児童が継続して学べる形態。
  • 年間を通じて複数回の活動を一連のプログラムとして実施し、児童が複数回参加できる場合(例:夏休みのキャンプと冬休みのスキー合宿を含む教育プログラム)。

このように、一定期間の継続性を前提とした教育活動であることが「民間教育事業」としての認定要件の基本となります。


指導を行う者の人数に関する要件

要件の内容

もう一つの重要な基準として、指導を行う者の人数が政令で定める人数以上であることが求められています(要件⑤、法第2条第5項第3号ニ)。

政令で定める人数

この「政令で定める人数」は、3人以上とされています。

趣旨と具体的な解釈

この基準は、民間教育事業が単独または不安定な運営形態ではなく、一定の組織性と継続性を備えた体制であることを確認するために設けられたものです。

民間教育事業は、学校や児童福祉施設のような明確な法的位置づけがないため、児童の安全確保を図る観点からも、最低限の組織体制を要件化しています。

人数設定の根拠

この「3人以上」という基準は、各種学校における人員配置を参考にしています。
各種学校では、「組織的・継続的な教育活動を行う上で最低限必要な教員数」として、校長および3人以上の教員の配置が求められています。
なお、校長と教員を兼務することも可能とされています。

人数に含まれる者の範囲

この要件における「指導を行う者」には、雇用形態や契約の有無を問わず、実際に技芸や知識の教授に従事しているすべての者が含まれます。

  • 派遣労働者
  • 外部講師
  • ボランティアスタッフ

これらも、実質的に指導に関わっていれば人数に含めてよいとされています。


まとめ

民間教育事業として認定を受けるには、事業の継続性と組織的な体制を備えていることが重要です。
すなわち、

  • 標準的な修業期間が6か月以上であること
  • 指導者が3人以上いること

この2つの要件を満たすことで、法の趣旨に沿った「児童への安全な教育環境」を構築しているとみなされます。

このような基準は、児童と継続的に接する教育事業者に対して、より高い安全意識と組織的な運営を求めるものです。

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