日本版DBS解説:紙・電子媒体の復元不可能な廃棄方法と外部委託禁止の原則

最終防衛線としての廃棄・消去義務の意義

こども性暴力防止法(日本版DBS)では、犯罪事実確認書を受領した事業者に対し、不要となった犯罪事実確認記録等を廃棄・消去する厳格な義務が課されています。対象となる期限は、従事者の離職から30日以内、または確認日から5年後の属する年度の末日から30日以内です(法第38条)。

この義務は、個人の権利利益保護を最優先に設計されており、事業者が保有する情報を必要最低限に抑え、漏えいリスクを徹底的に排除するための最終防衛線となります。


廃棄・消去の方法に関する具体的基準

犯罪事実確認記録等は、その媒体の形態に応じて、復元不可能な方法で処理する必要があります。基準は、個人情報保護法ガイドラインの手法を基礎としており、紙・電子それぞれの方法が明確に定められています。

紙媒体の廃棄方法

  • 書類等は、焼却、溶解、適切なシュレッダー処理などの復元不可能な手段で廃棄すること。
  • 犯歴情報という機微性の高い情報を第三者が復元・利用するリスクを完全に排除するための措置です。

電子媒体の消去方法

  • 電子データ(ファイルや記録媒体)は、容易に復元できない形で消去すること。
  • PCや情報システム上の個人データも、同様に復元不可能な方法で削除する必要があります。
  • 消去後は、担当者が確実に廃棄・消去が完了したことを確認する義務があります。

法関連システムと事業者の責任範囲

廃棄義務は、事業者負担を軽減する仕組みが存在する一方で、事業者の自己責任で対応すべき場面もあります。

システムによる自動消去(国側のサポート)

  • 確認日から5年後の属する年度末日から30日以内の期限については、こども家庭庁側の操作により、犯罪事実確認書の廃棄・消去を自動的に行う仕様が予定されています。

事業者が手動で対応する義務(離職・内定取消し時)

  • 従事者の離職や内定取消しに伴う廃棄は、対象事業者しか把握できないため、事業者が手動で対応する必要があります。
  • 法関連システムに報告するだけでなく、紙書類や別システムでの記録も復元不可能な方法で確実に廃棄・消去しなければなりません。

廃棄の外部委託禁止と関連情報管理

第三者提供の禁止

  • 犯罪事実確認記録等は、法第12条により第三者への提供が禁止されています。
  • これに基づき、外部委託による廃棄は認められず、事業者自らが復元不可能な手段で内部処理する必要があります。

特定性犯罪事実関連情報の取り扱い

  • 面談等で追加取得した「特定性犯罪事実関連情報」は、法定廃棄義務の対象外ですが、機微性が高いため、不要になった際には復元不可能な形で消去することが推奨されています。

まとめ:罰則を伴う厳格な義務

  • 犯罪事実確認記録等の廃棄・消去は、単なる情報整理ではなく、個人の権利利益保護と制度の信頼性を支える法的義務です。
  • 違反した場合、法第46条第1項第3号に基づく罰則が適用されます。
  • 事業者は、紙媒体は焼却・溶解・シュレッダー処理、電子媒体は復元不可能な形での消去を厳守し、外部委託を避けることで、情報管理の最終防衛線を確実に履行する必要があります。

この記事は、日本版DBSにおける犯罪事実確認記録等の廃棄・消去義務の実務上のポイントを網羅的に整理しています。事業者は、紙・電子いずれの媒体も、復元不可能な手段で処理することを徹底することが求められます。

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