認定要件としての組織体制の重要性
こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づき、民間教育保育等事業者(学習塾、スポーツクラブなど)が犯罪事実確認を実施するためには、内閣総理大臣(こども家庭庁)の認定を受ける必要があります。
認定の要件には、犯歴情報を適正に管理するための情報管理措置を講じていることが含まれます。この情報管理措置を確実に実施するため、民間事業者には「情報管理責任者を含む2人以上の従事者」を配置することが求められています。本記事では、この人数要件の背景と意義を詳しく解説します。
1. 2人以上の体制が必要とされる法的・論理的根拠
犯歴情報に対する複数人によるチェックの必要性
民間事業者は、学校設置者等の許認可を得ている施設とは異なり、情報管理が適切に行われる組織体制が確保されているかを事前に確認する必要があります。
認定基準における最低2人以上の人員体制は、犯歴情報という機微性の高い情報を扱う上で、複数人によるチェックを可能とするために設けられています。
情報管理措置の要素と履行
情報管理措置は組織的、人的、物理的、技術的な要素から成り、事業者はこれらを反映した情報管理規程を策定し遵守する必要があります。
特に組織的管理では、責任者が単独で犯歴情報を取り扱うリスクを避けるため、複数人体制による運用が不可欠です。
2. 小規模事業者への配慮と最低限求められる措置
情報管理措置には小規模事業者の負担を考慮した**「最低限求められる措置」**が設定されています。
この中で「情報管理責任者を含む2人以上の従事者」という体制は、最低限の安全性を確保するための核となる要件です。事業規模に関わらず、この体制を満たすことが必須とされています。
3. 制度運用における具体的な役割分担
情報管理責任者(1人目)
- 情報管理規程の策定・遵守指示
- 漏えい時の報告判断
- システムへのアクセス権限管理
- 事業所全体の情報管理状況の監督
従事者(2人目以降)
- 犯罪事実確認申請の実務担当
- 申請番号と従事者氏名の管理簿管理(確認書には氏名が記載されない)
- 防止措置の実施(接触回避等)
この2人体制により、情報管理責任者が単独で犯歴情報を独占するリスクを回避し、不適切利用や漏洩の防止が可能となります。
4. 2人体制が満たされない場合のリスクと対応
- この体制が確保されていない場合、認定を受けられません。
- 認定後に体制が維持できなくなれば、国から適合命令(法第30条第1項)の対象となり、従わなければ認定取消の事由になります。
- また、民間教育事業の認定要件として、技芸・知識の教授者人数が「政令で定める人数(3人以上)」であることも求められ、これにより2人以上の情報管理体制を確保しやすくなっています。
まとめ
情報管理責任者を含む2人以上の従事者体制は、日本版DBSにおける最も機微な犯歴情報を安全に管理するための前提条件です。
小規模事業者であっても、この体制を満たすことで、厳格な情報管理義務を果たし、認定事業者として児童の安全確保に貢献できます。
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