こども性暴力防止法(以下「法」)では、民間教育事業を認定対象とする際に「場所」に関する要件を設けています。学習塾やスポーツクラブ、ダンススクールなど、法律上明確な定義がない事業について、事業者が管理する場所が児童等に対する支配性・閉鎖性を有するかが、安全確保措置義務の範囲を判断する重要な基準となるためです。
事業者が用意する場所の解釈と具体例
定義:事業者が指定した場所
民間教育事業における「当該事業を営む者が、当該事業を行うために用意する場所」とは、保護者等ではなく事業者が主体的に指定した場所を指します。児童等の自宅はこの定義から除かれます。
対象となる場所の具体例
ガイドラインに沿って考えると、認定対象となり得る場所には以下が含まれます:
- 事業者のオフィス(学習塾の教室、事業所内の専用スペースなど)
- 従事者の自宅
- カフェ
- 公民館等の個室
- 公園、山・海など自然体験活動事業における活動場所
これらはいずれも、事業者が主体的に管理・指定できる場所であり、支配性・閉鎖性が生じる可能性があります。
認定対象とならない場所と法的根拠
対象外となる場所の具体例
民間教育事業の「事業者が用意する場所」に該当しないのは以下です:
- 児童等の自宅
- 保護者が指定した場所や区画
児童等の自宅が対象外とされる理由
事業者が自宅を指定した場合であっても、保護者等による関与が可能であり、事業者が支配性・閉鎖性の高い環境を生み出すとは言い難いためです。
家庭教師事業における留意点
- 家庭教師事業は原則として児童等の自宅で指導が行われることが多く、この場合は認定対象外です。
- ただし、自宅以外の場所(教室やシェアオフィスなど)で指導する場合は、認定対象となり得ます。
場所の要件とその他の認定要件の関係
民間教育事業が認定対象となるには、場所の要件(要件④)だけでなく、以下の要件もすべて満たす必要があります:
- 支配性(要件①):児童等に対して技芸又は知識の教授を行う事業であること。
- 継続性(要件②):技芸または知識を習得するための標準的修業期間が6か月以上であること
- 対面指導(要件③):児童等に対して対面で指導を行うこと
- 人数基準(要件⑤):教授を行う者が政令で定める3人以上であること
まとめ
認定事業者としての安全確保措置義務は、事業活動を行う場所が事業者の支配性・閉鎖性を有するかどうかで判断されます。
- 児童等の自宅や保護者指定の場所は、支配性・閉鎖性が限定的であるため原則対象外です。
- 一方、事業者が管理するカフェや公園などでも、指定された場所であれば認定対象となり得ます。
民間教育事業者は、認定対象かどうかを判断する際に、場所の支配性・閉鎖性の有無を意識することが必要です。
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