公的記録だけでは不十分な情報管理
こども性暴力防止法(日本版DBS)では、事業者が法務省の照会結果である「犯罪事実確認記録等」を厳格に管理することが義務付けられています。
しかし、児童対象の性暴力防止措置を実効的に実施するためには、単に公的記録だけでは十分でない場合が多く、事業者は従事者本人との面談などを通じて、より詳細な情報、いわゆる「特定性犯罪事実関連情報」を取得することが想定されています。
本記事では、この情報がなぜ犯罪事実確認記録等に準じて厳格に管理されなければならないのか、法的・実務的な背景を解説します。
特定性犯罪事実関連情報の定義と性質
定義と取得の必要性
特定性犯罪事実関連情報とは、犯罪事実確認に係る対象業務従事者から、事業者が追加的に取得した、特定性犯罪に関するより詳細な情報を指します。
具体的には以下の内容が含まれます:
- 犯罪事実確認書だけでは不十分な具体的行為内容
- 背景事情や状況
- 反省の認識や態度
これらの情報は、防止措置の検討・実施という目的内利用として取得が許容されます。
情報の機微性と管理義務
特定性犯罪事実関連情報は法的には犯罪事実確認記録等には該当しませんが、犯罪経歴に関わる極めて機微性の高い情報です。
漏えいが生じた場合、児童や従事者の権利利益を害するリスクは犯罪事実確認記録等と同等以上であるため、犯罪事実確認記録等に準じて厳格に管理することが求められます。
厳格管理が求められる実務的背景
重大事態報告の対象
特定性犯罪事実関連情報が漏えいした場合も、内閣総理大臣(こども家庭庁)への重大事態報告の対象となります。
これは、関連情報の漏えいは制度全体の信頼性を損なう可能性が高いため、迅速に把握し被害拡大・再発防止を図る必要があるためです。
組織的管理規程への組み込み
事業者は、情報管理規程を策定する際、取得した機微情報も犯罪事実確認記録等に準ずる取扱いとする旨を明記します。
漏えい時の対応体制や研修内容も、この情報を含めて対応できるよう整備することが求められます。
日常運用における厳格性
特定性犯罪事実関連情報は、犯罪事実確認記録等に準じて、伝達、保管、持ち運び等について厳格に管理することが求められます。
この情報は面談等を通じて事業者内で作成・記録されることが想定されますが、その管理に当たっては、公的記録である犯罪事実確認記録等に適用される「記録・保存を極力避ける」という基本原則、およびリスクに応じた厳格な安全管理措置を適用し、不要な共有は避ける必要があります。
法定廃棄義務との関係
犯罪事実確認記録等には法第38条に基づく廃棄・消去義務がありますが、特定性犯罪事実関連情報には法定廃棄義務は適用されません。
しかし、不要となった場合には、復元不可能な形で速やかに消去することがガイドラインで求められています。
まとめ:安全管理の盲点をなくす
特定性犯罪事実関連情報は、防止措置に不可欠である一方、犯罪事実確認記録等と同等以上の情報漏洩リスクを伴います。
事業者は、この情報を犯罪事実確認記録等に準じて厳格に管理することで、以下を実現する必要があります:
- 児童の安全確保
- 従事者のプライバシー保護
- 万一の漏洩時の重大事態としての適切な報告体制の確立
この「準じた管理」は、情報管理の実効性と制度の信頼性を守るための最小限の実務的要請であると言えます。
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