民間教育事業とは、学習塾、スポーツクラブ、ダンススクールなど、法律上明確な定義のない事業であっても、こども性暴力防止法において認定対象となる可能性があります。認定を受けるためには、支配性・継続性・閉鎖性などの観点から定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。
本記事では、5つの要件のうち、特に教授を行う者の人数に関する要件⑤に焦点を当て、なぜ「3人以上」という基準が設けられたのか、その背景と算定の範囲について詳しく解説します。
第1章:「3人以上」の人数基準が設けられた理由と背景
組織体制の最低限度の確保
人数要件(要件⑤)は、法律上の定義が曖昧な事業を認定対象とするにあたり、学校や児童福祉施設と同等の安全管理体制を確保するために設けられています。具体的には、以下の理由があります。
- 特定性犯罪歴などの機微な情報を扱う必要がある
- 性暴力の早期発見、相談、調査といった安全確保措置を組織的かつ継続的に実施する必要がある
これらの措置を適切に行うためには、一定規模の人員が必要とされます。
他の施設との基準の整合性
民間教育事業と同様に認定対象となる各種学校では、組織的かつ継続的な教育活動を行うため、校長及び3人以上の教員を置くことが求められています。この基準を参考に、民間教育事業においても3人以上の教授従事者を置くことが政令で定められました。これにより、同等の組織的体制を確保することが目的とされています。
第2章:人数算定の具体的な対象範囲
教授従事者の定義と算定人数
民間教育事業において、技芸または知識の教授を行う者の人数は、3人以上と政令で定められています。この人数には、児童と直接関わることが想定される全ての職員が含まれます。
雇用の有無・形態を問わない包括的な対象
人数算定の対象は、雇用形態に関係なく、実体として教授に従事している者すべてです。正職員だけでなく、以下のような多様な従事者も含まれます。
- 派遣労働者
- ボランティアスタッフ
- パートタイム、アルバイトなど
この包括的な定義により、事業者は実際に教授に関わる全従事者を把握しておく必要があります。
まとめ:認定に向けた事業者の実務的確認事項
民間教育事業者が認定を申請する際には、以下の点を確認しておくことが重要です。
- 修業期間(6か月以上)や場所の要件を満たしていること
- 教授を行う者が3人以上いること
- この3人には正職員に加え、派遣やボランティアなど実働する全従事者が含まれる
- 人数基準を満たさなくなった場合には、事業体制の変更として廃止の届出が必要となる場合がある
事業者は、人数基準を満たすか否かを常に正確に把握し、認定後も継続的に組織体制を維持することが求められます。