「こども性暴力防止法」では、児童に対して教育・保育等を提供する事業において、性暴力リスクが特に高い環境を把握するために、支配性・継続性・閉鎖性という3つの性質が重要な概念として位置付けられています。
これらは、児童に対する教育・指導の場で、加害者による権力の濫用や性的グルーミングのリスクを明確化するための基準です。特に民間教育事業(学習塾、スポーツクラブ、ダンス教室等)を法の対象に含める際の具体的な要件として反映されています。
支配性とは
支配性とは、従事者が児童に対して指導等を行う中で、支配的・優越的な立場に立つことを指します。
この性質は、権力の濫用や指導の立場を利用した性暴力が発生しやすい環境を示します。
民間教育事業における支配性の要件
- 要件:事業者が用意する場所(事業所等)で指導を行うこと
(法第2条第5項第3号ハ) - 考え方:事業者が主体的に場所を選ぶことで、性暴力が露見しづらい環境が生じやすくなるため
- 対象となる場所:事業者のオフィス、従事者の自宅、カフェ、公民館の個室、公園、山・海など、事業者が指定する場所
- 対象外の場所:児童の自宅や保護者が指定した場所
継続性とは
継続性とは、従事者が児童に対して継続的に密接な人間関係を持つことを指します。
短期間の接触ではなく、関係が継続することで、信頼を悪用した性的グルーミングのリスクが高まります。
民間教育事業における継続性の要件
- 要件:標準的な修業期間が6か月以上であること
(法第2条第5項第3号イ) - 考え方:一定の支配性・継続性・閉鎖性を有する事業を対象とする観点から設けられている
- 具体例:月1回や週2回の定期的な事業、一連のプログラムとして年内に複数回開催され、同一児童が複数回参加できる場合
閉鎖性とは
閉鎖性とは、保護者の監視が届かない状況下で児童を預かり、教育・保育等を行うことを指します。
外部の目が届きにくい環境は、性暴力の発生や潜在化のリスクを高めます。
民間教育事業における閉鎖性の要件
- 要件①:事業者が用意する場所で指導を行うこと
(法第2条第5項第3号ハ)
支配性と同様、性暴力が露見しづらい閉鎖的な環境が生じやすいことから設けられている - 要件②:児童に対して対面で指導を行うこと
(法第2条第5項第3号ロ)
オンライン指導に比べ物理的閉鎖性が生じやすく、支配・優越的関係が築かれやすい環境に関わる要素
その他の事業との関係
支配性・継続性・閉鎖性は、幼稚園、小中学校、認定こども園、保育所、児童福祉施設などの学校設置者等が本質的に持つ性質とされています。
法律は、これらの性質を法の対象外だった民間事業にも適用することで、教育・保育の場における児童の安全確保を目指しています。
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