日本版DBS(こども性暴力防止法)は、学校設置者等や認定事業者に対し、児童対象性暴力等が行われるおそれを早期に把握するための措置を講じることを義務付けています。この早期把握は「安全確保措置」の主要な柱の一つであり、日常的な観察や面談、報告ルールの整備を通じて、児童への性暴力等を未然に防止し、発生時に適切に対応することを目的としています。
内閣府令において定められる具体的措置は以下の3点です。
- 児童等に対する日常観察
- 発達段階や特性に応じた面談・アンケート
- 適切な報告・対応ルールの策定・周知
これらは、子どもへの性暴力が権利を著しく侵害することから、絶対に防ぐ必要があるという法の理念に基づきます。
生命の安全教育における早期発見・相談の役割
「生命(いのち)の安全教育」は、児童生徒が性暴力被害に遭った際に適切に対応できる力を養うことを目的としています。ここでは、早期発見と相談対応が教育の中心的な要素として位置付けられています。
指導の手引きでは、教職員が事前準備・相談を受けた場合の対応方法を検討しておくことを強調しており、これは法に定められた早期把握の体制整備と強く連携する部分です。
早期把握の具体的手法と留意点
法に基づく措置と教育手引きの共通点を整理すると、以下の観点が重要です。
| 観点 | 法に基づく早期把握措置 | 生命の安全教育 |
|---|---|---|
| 日常観察の重要性 | 児童等の心身・行動の変化を日常的に観察 | 被害経験のある児童生徒の様子を注意深く見守り、適宜フォロー |
| 複数人による対応 | 可能な限り複数名で観察。担任や身近な者が加害者である可能性も考慮 | 児童生徒が信頼できる複数の教職員(スクールカウンセラー含む)が対応 |
| 相談しやすい環境 | 積極的な声掛けと対話の促進、発達段階に応じた運用 | 被害開示時、安心して話せる場所で聞き取り、匿名相談などの工夫 |
| 早期発見のためのルール | 観察・面談・相談で疑いを把握した場合の報告ルールを整備 | 教職員は感情的にならず、圧力をかける質問を避ける |
| 外部機関との連携 | 警察、児童相談所等、支援機関との事前リスト化 | 必要に応じて専門機関と連携し、無理に聞きすぎない |
| 二次被害の防止 | 報告者・報告内容の秘密保持を徹底 | 同じ話を繰り返し聞かせない等、二次被害防止策を徹底 |
| 不適切な行為の認識 | 性暴力につながるおそれのある行為も早期把握対象 | 児童生徒の発言を最後までしっかり聞き、先入観を持たない |
早期把握における教育の役割
「生命の安全教育」は、児童生徒自身が被害を認識し声を上げる力を養うことに重点を置きます。具体的な指導内容は以下の通りです。
- 大切な体の認識
幼児期から「自分の体は自分だけのもの」であることを理解させる。特に**水着で隠れる部分(プライベートゾーン)**は見せたり触らせたりしてはいけないと意識させる。 - 嫌な気持ちへの対処
体を見られたり触られたりして嫌な気持ちになったとき、「いやだと言う」「逃げる」「安心できる大人に相談する」といった対応を身に付けさせる。 - 距離感の理解
小学校高学年以降は心と体の距離感を理解させ、他者の気持ちを尊重した意思決定・行動選択を指導する。 - 相談先の明示
被害に遭った際は、一人で抱え込まず、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、家族、専門機関など信頼できる人に相談するよう指導する。
まとめ
法が定める「早期把握」は、事業者や学校が児童対象性暴力等の兆候を組織的に見逃さない体制・ルールの確立を指します。一方で「生命の安全教育」は、児童生徒が自ら声を上げ、教職員がその声を受け止める教育的基盤を提供します。両者が連携することで、子どもの安全確保と性暴力被害防止の効果が最大化されます。
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