日本版DBS(こども性暴力防止法)に関連して、犯罪事実確認記録等の適正な管理は、事業者に求められる最も重要な義務と言っても過言ではありません。本記事では、従事者に対する研修・訓練等の人的情報管理措置について、想定されるリスクと具体的対応策を整理します。
従事者研修・訓練の重要性
犯罪事実確認記録等は極めて機微性の高い個人情報です。管理不十分による情報漏えいは個人の権利利益の侵害や制度に対する信頼の喪失のおそれが大きいため、より厳格な規制が課されています。人的管理の基本として、従事者に対する研修・訓練は必須です。
想定されるリスク
従事者研修の必要性は、以下のようなリスクに対応するためです。
- 権限のない従事者による電子ファイル等の無断持ち出しや情報漏えい
- 権限のある管理者による故意または過失の目的外利用
- 異動・退職者による情報持ち出し、不正侵入による漏えい
- 紙資料や手書きメモの置き忘れ・紛失による漏えい
- 会話による情報漏えい(業務上/業務外、会食や公共交通機関内での会話など)
- SNSやチャットアプリを介した電子ファイル・画像・メッセージの漏えい(故意・過失含む)
- 組織内情報共有ツールへの過失による情報共有
- フィッシング詐欺やクラウドサービス認証情報の窃取による漏えい
これらのリスクの中には、罰則があるものも含まれています。法的なもののみならず、物理的な予防措置も想定した上で、研修内容や社内規程を整備することが不可欠です。
標準的措置と実務対応
研修の実施
- 従事者の着任時及び定期的に犯罪事実確認記録等の取り扱いに関する研修を実施
- 研修実施の記録を作成し、責任者が定期的に確認
- 人事異動の多い時期等には意識啓発も実施
研修内容の具体例
- 犯罪事実確認記録等の管理の重要性
- 情報管理措置の基本原則と具体的対応策
- 情報管理規程違反や漏えいの兆候を把握した場合の報告連絡体制
- 関係法令や社内規程変更の内容
- 禁止事項と罰則
必要に応じて、こども家庭庁が提供する研修教材や、情報処理推進機構(IPA)等の公的機関の研修資料を活用することも効果的です。
研修方法の例
- 入社時、昇進時、配転時研修の一環として実施
- 関係法令や社内規程の改正に伴う研修
- e-ラーニングによる受講(理解度確認付き)
- 座学だけでなくディスカッション、ロールプレイ、訓練、理解度確認テストの実施
研修以外の意識啓発
- 定例会議での説明資料配布
- 社内電子掲示板への掲示
- 電子メールでの注意喚起
- 朝礼や定例会議での犯罪事実確認記録等取扱いに関する情報共有
就業規則・退職時の取り扱い
- 秘密保持や情報管理規程違反時の人事上の取り扱いを就業規則等に明記
- 退職者には退職後も情報を漏らさないことを確認
- ボランティアや派遣職員など多様な従事者形態に応じた研修・規則運用の工夫
まとめ
人的情報管理措置は、単なる研修の実施にとどまらず、定期的な意識啓発や規則の整備、従事者全員の理解確認まで一貫して行う必要があります。犯罪事実確認記録等の適正管理は、日本版DBS(こども性暴力防止法)における義務であり、従事者教育を中心に体系的に対策を構築することが重要です。
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