「児童対象性暴力等の防止等をするための措置に関する法律」(通称:こども性暴力防止法)は、子どもへの性暴力を防ぐことを目的に制定されました。児童等への性暴力は、子どもの権利を大きく侵害し、生涯にわたる心身の発達に深刻な影響を与える可能性があります。この法律は、こうした被害を未然に防ぐため、学校設置者(幼稚園、小中学校、保育所、児童福祉施設等)や、内閣総理大臣の認定を受けた民間教育保育等事業者(学習塾、スポーツクラブ等)に、子どもの安全を守る責任を明確にしています。
保護者として押さえておきたいポイントは、大きく分けて3つです。
安全確保措置の義務
対象事業者は、日常的に包括的な安全確保措置を講じる義務があります。これは単なる犯罪歴確認にとどまらず、性暴力の未然防止と発生時対応を含む総合的な措置です。
犯罪事実確認(クリミナル・レコード・チェック)
- 対象者
教員や民間事業者の従事者として教育・保育等の業務に従事させる全員が対象です。 - 確認内容
当該者が刑法や都道府県条例で定める特定性犯罪の経歴を持つかどうかを、犯罪事実確認書で確認します。 - 確認のタイミング
- 新規採用者:業務開始前に確認を完了する必要があります。
- 現職者:施行日(令和8年12月25日予定)から起算して3年以内に確認。
- 再確認:確認後5年ごとに定期的な再確認が必要です。
現場での安全対策
犯罪事実確認に加えて、事業者は以下の措置を実施します。
- 早期把握(未然防止・早期発見)
- 面談や定期アンケートで性暴力のリスクを早期に把握。
- 特に未就学児や障害児は日常観察が重要。
- 相談体制の整備
- 児童等が容易に相談できる窓口の設置・周知。
- 外部相談窓口も含めた複数の選択肢を提示。
- 調査・保護・支援
- 疑いがある場合は公正かつ中立な調査を実施。
- 性暴力が認められた場合は、被害児童の安全確保や支援機関紹介などの措置を講じます。
- 研修
- 従事者に対して性暴力防止の理解を深める研修の受講が義務付けられています。
緊急時の対応と接触回避措置
新規採用までに犯罪事実確認が間に合わない場合(いとま特例)にも対応策があります。
- 暫定的な勤務
業務開始から原則3か月以内(条件により最長6か月)に確認を行うことを前提に、勤務が可能。 - 特定性犯罪者とみなす措置
この期間中、事業者は当該従事者を特定性犯罪者とみなし、必要な措置を講じます。 - 具体的な措置
- 原則として児童と一対一にしない。
- 研修や一人になりにくいシフトを優先的に割り当てる。
- やむを得ず一対一になる場合は管理職に事前通知。
情報公開と保護者の確認ポイント
事業者の法に基づく措置実施状況は、保護者が確認できるよう情報公開されます。
認定事業者の情報
- 認定事業者の名称、事業概要、所在地、犯罪事実確認対象業務。
- 認定マーク:広告などに表示可能。
- 現職者確認完了状況も公表されます。
留意点
認定マークがあっても現職者確認が完了していない場合があります。必ずこども家庭庁のウェブサイトで確認してください。
情報管理の徹底
- 犯罪事実確認記録は極めて機微性の高い個人情報。
- 防止措置以外の目的で使用・第三者提供は禁止。
- 保護者からの問い合わせに対し、個別の犯罪事実の有無を回答できません。
- 情報漏えいがあった場合は、3~5日以内を目安に内閣総理大臣(こども家庭庁)に報告が義務付けられています。
この法律は、子どもを性暴力から守るために、事業者に日常的な安全確保の義務と厳格な管理体制を求めています。保護者としては、認定事業者の認定マークや現職者確認の完了状況を確認することが重要です。
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