こども性暴力防止法では、児童等に関わる従事者の犯罪事実確認が義務付けられており、その対象となるのが「特定性犯罪」です。本記事では、特定性犯罪の法的要件および犯罪事実確認の判断基準について整理します。
特定性犯罪とは
特定性犯罪(法第2条第7項)に該当する罪は、主に以下の2つの構成要素で定義されます。
- 刑法などの法律で定める罪
- 都道府県の条例で定める罪
これにより、全国一律の刑法上の犯罪だけでなく、地域条例による犯罪も対象として確認されます。
刑法その他の法律で定める特定性犯罪
法律で明確に規定されている罪は、特定性犯罪として犯罪事実確認の対象となります。主な例は以下の通りです。
刑法
- 不同意わいせつ(刑法176条)
- 不同意性交等(刑法177条)
- 監護者わいせつ及び監護者性交等(刑法179条)
- 不同意わいせつ等致死傷(刑法181条)
- 16歳未満の者に対する面会要求等(刑法182条)
- 強盗・不同意性交等及び同致死(刑法241条1項・3項)
その他の法律
- 盗犯等の防止及処分に関する法律
- 常習特殊強盗致傷(4条)
- 児童福祉法
- 淫行をさせる罪(60条1項)
- 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
- 児童買春(4条)
- 児童買春周旋(5条)
- 児童買春勧誘(6条)
- 児童ポルノ所持、提供等(7条)
- 児童買春等目的人身売買等(8条)
- 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び電磁的記録の消去等に関する法律
- 性的姿態等撮影(2条)
- 性的影像記録提供等(3条)
- 性的影像記録保管(4条)
- 性的姿態等影像送信(5条)
- 性的姿態等影像記録(6条)
※一部の未遂罪も対象となります。改正前の刑法規定に基づく同様の罪についても、特定性犯罪として明確化されています。
都道府県の条例で定める特定性犯罪
特定性犯罪には、法律で定められた罪だけでなく、都道府県条例で規定される罪も含まれます。対象となる行為は、政令で定める4種類に分類されます。
身体接触行為
- 概要: みだりに他人の身体の一部に接触する行為
- 該当条例の例: 迷惑防止条例(痴漢等に関する罰則)
盗撮・のぞき見行為
- 概要: 正当な理由なく、通常衣服で隠された下着や身体をのぞき見・撮影、または撮影目的で写真機等を差し向ける・設置する行為
- 該当条例の例: 迷惑防止条例(盗撮・のぞき見等に関する罰則)
卑わいな言動
- 概要: 身体接触行為や盗撮・のぞき見行為を除く、みだりな卑わいな言動
- 該当条例の例: 迷惑防止条例(卑わいな言動等に関する罰則)
児童との性交・わいせつ行為
- 概要: 児童と性交、または児童に対するわいせつ行為
- 該当条例の例: 青少年健全育成条例(淫行及びわいせつ行為等に関する罰則)
こども家庭庁および警察庁は、施行が近づいた段階で都道府県ごとの条例および対象罪の確認調査を行う予定です。
犯罪事実確認における該当性の判断基準
犯罪事実確認で「特定性犯罪事実該当者」と認められるのは、以下のいずれかに該当する者です。
- 拘禁刑の裁判が確定した者(刑の執行終了から20年以内)
- 拘禁刑で執行猶予が付された者(裁判確定から10年以内)
- 罰金刑の裁判が確定した者(刑の執行終了から10年以内)
犯罪事実確認書には、次の情報が記載されます。
- 特定性犯罪の該当性(犯歴あり/犯歴なし)
- 該当区分(拘禁刑/執行猶予/罰金刑)
- 裁判確定日(犯歴ありの場合のみ)
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