令和8年12月25日の法律施行後、民間教育保育等事業者(認定対象事業所)は、内閣総理大臣(こども家庭庁)の認定を受けることで、犯罪事実確認を含む各種措置の義務対象となります。本記事では、認定取得から日常業務までの手続きを時系列に沿って整理します。
認定取得の準備と申請
認定対象事業所は、認定申請を行うために以下のように事前準備が必要です。 認定取得後は定期的な報告や継続して安全確保措置、重大事案発生時の報告体制などの整備が求められます。
事前準備
- 体制の整備
情報管理の責任者を含む2人以上を配置することが内閣府令で定められることとされています。これは、機微性の高い情報を扱うため、目を変えてチェックを可能とする体制を確保するためです。 - GビズIDの取得
認定申請の際の申請書記載事項としてGビズIDを提出することが必要とされています。システムへのログインには、不正ログイン防止のためにGビズID・認証用アプリによる多要素認証が原則となります。 - 規程の作成
児童対象性暴力等対処規程の作成は認定基準の一つとされており、同時に情報管理規程も添付書類として提出が求められています。
認定等の申請
- 申請方法
申請は原則としてオンラインです。共同認定の申請は、民間教育保育等事業者及び事業運営者の共同申請により行われます。 - 手数料の納付
手数料は実費を勘案して政令で定める額となります。現時点では3万円程度と計算されています。これは1事業あたりの認定申請の手数料で、犯罪事実確認そのものには費用はかかりません。国及び地方公共団体が単独で認定申請を行う場合には納付の対象外です。
認定審査と通知
- 認定審査
認定申請および共同認定申請の標準処理期間は1か月から2か月程です。詳しくはガイドラインにおいて示されることとされています。 - 認定通知と公表
認定基準に適合すると通知され、事業者名、事業概要、事業所名などがインターネットで公表されます。 - 認定マークの表示
認定マークは制服、パンフレット、ウェブサイト、求人広告などに付すことが出来るとされています。認定等事業と認定等を受けていない事業の両方を行う場合は、認定等事業に限って認定マークを付していることが分かるようにしなければなりません。
犯罪事実確認の実施
認定を取得した事業者は、従事者に対して特定性犯罪の有無を確認する義務を負います。
確認期限
- 新規採用者
当該業務に従事させる前までに確認。 - 認定時現職者
認定時現職者の犯罪事実確認の期限は、認定等の日から起算して1年を経過する日として政令で定めることとされています。 - 再確認
犯罪事実確認を行った者に対しては、前回確認日の翌日から起算して5年を経過する日の属する年度の末日までに再確認を行わなければなりません
犯罪事実確認の手順(新規・再確認)
- 交付申請
交付申請書には、新規従事者、認定時現職者、再確認者のいずれの区分か(いとま特例の場合はその内容を含む)を記載することが求められます。 - 戸籍情報提出
日本国籍を有する申請従事者は、戸籍(除籍)電子証明書提供用識別符号等を提供して戸籍抄本等の提出に代えることが原則とされます。 - 照会・回答
こども家庭庁が法務省に照会し、特定性犯罪の有無について回答を受領。 - 事前通知
犯歴がある場合、申請従事者に通知。通知後2週間以内に訂正請求が可能で、期間中は確認書は交付されません。 - 交付
犯歴がない場合、または訂正請求期間経過後に犯罪事実確認書を交付。日本国籍者は2週間~1か月、外国籍者は1~2か月が目安とガイドラインに示される模様です。
いとま特例(やむを得ない事情)
急な欠員などで業務開始まで確認が間に合わない場合、業務開始日から3か月以内(特定条件で6か月以内)に確認可能。その間、従事者は特定性犯罪事実該当者とみなし、児童と一対一にさせない等の措置を講じます。
日常業務と監督(認定後の継続的義務)
認定事業者等は、日常的に安全確保措置・情報管理措置を実施し、定期的に国へ報告します。
日常的な実施事項
- 安全確保措置
日常観察・面談・アンケートによる早期把握、相談体制の整備、調査、保護・支援、研修受講義務の継続。 - 防止措置
犯罪事実確認や早期把握結果により児童対象性暴力のおそれがある場合、内定取消しや配置転換等の措置。 - 情報管理措置
犯罪事実確認記録等を情報管理規程に従い厳格管理し、目的外利用・第三者提供を禁止。
重大事態発生時の対応
- 漏えい等の報告
報告が必要な重大事態には、犯罪事実確認記録等の漏えい等と、防止措置実施時に取得した特定性犯罪事実関連情報の漏えい等も含まれます。速報は「直ちに報告」(目安は3~5日以内)し、確報は事態を知った日から30日以内(不正目的の場合は60日以内)に報告しなければなりません。
随時の届出
- 変更・廃止の届出
公表事項や規程・措置内容を変更する場合、変更日の2週間前までにこども家庭庁へ届け出。
年次・期限管理
- 帳簿の記載・保存
犯罪事実確認の実施状況を帳簿に記録し、作成日から5年経過年度末まで保存。 - 定期報告
犯罪事実確認、安全確保措置、情報管理措置の実施状況を年1回、認定日基準で報告。 - 犯罪事実確認記録等の廃棄・消去
法定期限(確認日から5年経過年度末から30日以内、または離職日から30日以内)までに廃棄・消去。
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