日本版DBS(こども性暴力防止法)における相談と調査の重要性

2026年に施行される日本版DBS(こども性暴力防止法)では、教育・保育等の事業者に対して、児童の安全を守るための具体的な措置が義務付けられました。本記事では、その中でも特に重要とされる「安全確保措置」のうち、「相談」「調査」について、その内容と実施上の留意点を整理して解説します。

相談(法第5条第2項、法第20条第1項第3号)

1. 措置の概要

学校設置者等は、教員等による児童対象性暴力等に関して、「児童等が容易に相談を行うことができるようにするための必要な措置」を実施しなければなりません(法第5条第2項)。

また、民間教育保育等事業者についても、同様の措置が認定の基準として内閣府令で定めることとされています。(法第20条第1項第3号)

2. 内閣府令で定める具体的な措置

  • 事業者内における相談員の選任又は相談窓口の設置・周知
  • 児童対象性暴力等に係る外部相談窓口の周知

3. 措置に関する留意事項

児童等が安心して相談できるよう、年齢や特性を踏まえた工夫が求められます。具体的なポイントは次の通りです。

  • 相談体制の工夫
    複数の相談先から選べるようにする(例:性別に配慮した複数の相談員、外部窓口の複数周知)。
  • 周知内容の工夫
    「手紙・メール・SNS等で相談できる」「匿名で相談できる」「性暴力以外のことも相談できる」など、相談しやすいことを明示する。
  • 対応時の配慮
    相談後の流れを児童に示すこと。相談者の情報は厳格に取り扱い、不利益な取扱いがないことを伝える。
  • 相談を受ける者の態度
    しっかり話を聞き、共感して寄り添う。責めたり否定したり、言いたくないことを無理に聞かない。
  • 保護者への対応
    保護者に対しても心理的ハードルを下げる工夫を行う。

なお、「教員性暴力等防止法基本指針」でも、複数の相談窓口や同性相談員の確保、迅速な対応体制の整備が求められています。


調査(法第7条第1項)

1. 措置の概要

学校設置者等は、児童対象性暴力等の疑いがあると認めるときは、「事実の有無及び内容について調査」を行わなければなりません(法第7条第1項)。

認定事業者等についても、認定基準として定める「児童対象性暴力等対処規程」に調査の実施を含めることが求められています。

2. 内閣府令で定める具体的な措置

  • 児童の人権や特性に配慮し、名誉・尊厳を害しないよう注意すること。
  • 加害が疑われる従事者の人権にも配慮し、公正かつ中立に行うこと。
  • 事案の内容に応じ、関係機関と適切に連携して行うこと。

3. 措置に関する留意事項

以下については、ガイドライン等で定めるものとされています。

  • 事実確認の手順を明確にすること
  • 聴き取りの方法と内容の整理
  • 事実の有無の評価方法
  • 人権配慮の具体的内容
  • 外部機関・専門家との連携(記憶の汚染防止や心身への負担軽減に配慮)

特に、公正かつ中立な調査の実施、専門的知識を持つ者の協力、児童生徒の尊厳への配慮は不可欠です。犯罪の可能性がある場合には、早急に警察と連携することが必要です。


まとめ

児童対象性暴力等への対応において、**「相談」「調査」**は児童の安全と人権を守るための柱です。教育機関や事業者は、法令に基づく措置を着実に実施し、児童が安心して声を上げられる環境の整備と、公正で適切な調査体制の確保に努めることが求められます。

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