犯罪事実確認記録等の適正な管理:児童対象性暴力等防止のための厳格な情報管理体制

犯罪事実確認記録等は、児童対象性暴力等の防止を目的に、対象事業者に厳格な情報管理措置が求められる機微性の高い記録です。管理の基本原則や技術的要件、廃棄・消去、報告義務まで、適正管理のための要点を詳しく解説します。

1. 犯罪事実確認記録等とは何か

犯罪事実確認記録等とは、犯罪事実確認書およびそれに記載された情報に係る記録を指します。対象事業者は、児童等を性暴力から守るという重要な社会的責務を果たすため、法第14条に基づきこれを適正に管理する義務を負っています。

この記録は、子どもたちの安全を守るための重要な情報であると同時に、極めて機微性の高い個人情報でもあります。そのため、通常の個人情報保護法以上の厳格な管理が求められているのです。

2. 法的根拠と規制の枠組み

対象事業者の範囲

  • 学校設置者
  • 認定事業者等

法的義務と管理体制

対象事業者には以下の義務が課されています:

法第14条に基づく適正管理義務:犯罪事実確認記録等を適正に管理する基本的な義務

法第11条に基づく管理体制整備:管理責任者の設置など、組織的な管理体制の構築

違反時の措置:これらの義務に違反した場合は、認定取消事由に該当します

個人情報保護法との関係:一般的な個人情報保護法よりもさらに厳格な規制が適用されます

3. 情報管理規程の必須要素と措置の水準

情報管理規程に含むべき必須要素

対象事業者は、以下の5つの要素を含む情報管理規程を策定する必要があります:

  1. 基本的事項:管理の基本方針や目的の明確化
  2. 組織的情報管理措置:責任体制や役割分担の明確化
  3. 人的情報管理措置:職員への教育・研修体制
  4. 物理的安全管理措置:施設・設備面での保護対策
  5. 技術的情報管理措置:システム面でのセキュリティ対策

措置の水準

水準内容適用対象
標準的措置基本的水準で推奨される全ての対象事業者(推奨)
最低限求められる措置一部緩和、水準は個人情報保護法以上全ての対象事業者(必須)

4. 情報管理の基本原則と技術的要件

基本原則

情報管理にあたっては、以下の原則を徹底することが求められます:

  • 取扱者の最小限化:記録にアクセスできる人員を必要最小限に限定
  • 記録・保存の抑制:極力記録・保存を避け、必要な場合のみ実施
  • リスクに応じた管理:保存が必要な場合はリスクレベルに応じた適切な管理
  • 状況に応じた措置:情報機器やネットワーク状況に応じた柔軟な対応
  • 継続的改善:組織長が重要性を理解し、定期的な点検・改善を実施

技術的・物理的要件

情報機器の管理

  • 私用端末の使用は厳格に禁止
  • 業務用端末のみを使用
  • 最新のOS・アプリケーションを保持

ネットワークセキュリティ

  • 不要な通信は制限
  • 多層防御による堅牢なセキュリティ体制

クラウドサービスの利用

  • 必要時のみの限定的利用
  • アクセス管理の徹底
  • 暗号化の必須実施

5. 「こども性暴力防止法関連システム」による管理

専用システムを活用することで、より確実で効率的な管理が可能になります:

アクセス制御:システム上で取扱者を最小限に限定し、不正アクセスを防止

申請・認証:多要素認証を原則とし、本人認証にはマイナンバーカード等を活用

情報交付:氏名等の個人識別情報は記載せず、識別番号のみで管理

自動消去:保管期限到来時にシステムが自動的に情報を消去

6. 情報の取扱いに関する厳格な規則

目的外利用・第三者提供の禁止

法第12条により、犯罪事実確認記録等の目的外利用および第三者提供は原則として禁止されています。

例外的な提供

以下の場合に限り、例外的に情報提供が認められます:

  • 教育委員会間での情報共有
  • 裁判所等への提供
  • 国の報告徴収への対応

重大事態の報告義務

情報漏えい等の重大事態が発生した場合は、内閣総理大臣への報告が義務付けられています:

  • 速報:原則として3~5日以内
  • 確報:30日以内

7. 記録の廃棄・消去と監督体制

廃棄期限の厳格な遵守

以下のいずれか最も早い時期に廃棄する必要があります:

  • 確認日から5年後の年度末+30日
  • 対象者の離職後30日
  • 対象事業者該当外となった後30日

廃棄方法の徹底

紙媒体:復元不可能な方法での廃棄

電子データ:復元困難な方法での消去、責任者による確認必須

監督体制

対象事業者の義務:国に対する定期報告義務

国の権限:報告徴収、立入検査、是正命令、公表等の権限を保有

まとめ

犯罪事実確認記録等の適正管理は、児童を性暴力から守るための重要な制度です。対象事業者は、法的義務を正しく理解し、技術的・組織的な管理措置を適切に実施することで、子どもたちの安全確保と個人情報保護の両立を図る必要があります。

定期的な見直しと改善を通じて、より効果的で安全な管理体制の構築に努めることが、社会全体での児童保護につながります。

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