【熊本の行政書士が解説】日本版DBS(こども性暴力防止法)の「認定の基準・共同認定・認定の手続き」とは?
日本版DBS(こども性暴力防止法)制度の本格運用を前に、教育・保育事業者が押さえておくべき認定制度のポイントを解説します。
犯罪事実確認体制の整備、共同認定の役割分担、申請手続きの流れを実務的に整理。
行政書士としての視点から、制度対応の全体像をお伝えします。
Q1. 民間教育保育等事業者が認定を受けるには、どのような体制整備が求められる?
✅ポイント
- 犯罪事実確認体制の整備が必須
- 確認手続きは4つのタイミングで求められる
- 計画的な事務運営と記録管理が重要
🔍詳細
日本版DBS(こども性暴力防止法)に基づき、認定を受ける民間教育保育等事業者には、犯罪事実確認を適切に実施するための体制構築が求められます(法第20条第1項第1号)。
確認は以下の4つの局面で行う必要があります:
- 新規雇用者(従事前)
- 「いとまがない」場合の代替措置
- 認定時の現職者
- 確認済み職員に対する5年ごとの再確認
実務としては、確認スケジュールの策定、対象者への周知、申請の流れの明示、やむを得ない場合の証明書類の保管など、細やかな管理が求められます。上の1~4について、適切な実施を確保するための責任者が選任されていることを要件とした上でも内閣府令で定められるとしています。 また、留意事項については、ガイドラインにおいて示される模様です。
Q2. 「児童対象性暴力等対処規程」とは何を定めるものですか?
✅ポイント
- 防止、調査、支援の3つの柱で構成
- 内閣府令の基準に適合させる必要あり
- 規程の変更には届け出が必要
🔍詳細
法第20条第1項第4号により、認定を受けるためには「児童対象性暴力等対処規程」の整備が必要です。
この規程には、次の3点を明記します:
- 防止措置(未然防止、研修など)
- 調査措置(事案発生時の対応)
- 保護・支援措置(児童等への支援体制)
児童対象性暴力等対処規程の例については、事業者が参考にできるようガイドラインで示される模様です。また、規程の変更時には、オンラインでの届け出(法第24条第3項)が必要となり、共同認定の場合は関係者双方の合意が必須です。
Q3. 共同認定制度で求められる役割分担とは?
✅ポイント
- 指定管理や委託先も対象に(※)
- 犯罪事実確認や相談体制の責任範囲を明確に
- 責任は共同で負うため、連携が鍵
※指定管理の場合は具体的な業務の範囲(事業運営全体・施設の維持管理等)は条例で定められ、また、委託の場合であっても、認可外保育施設、放課後児童クラブ等に適用される公的な設備等の基準は、委託先の運営者が満たす必要があります。
🔍詳細
法第19条に定める事業運営者については、その定義を次の通りガイドラインにおいてより具体的に明確化することとされています。
- 指定管理者又は委託を受けた管理する者は、当該事業所で行われる対象事業の運営全体を担う者をいうこと。
- このため、施設の維持管理のみを担う場合等は、該当しないこと。
- なお、民間教育保育等事業者自らが当該民間教育保育等事業を行うとした場合に適用される公的な設備、運営、人員等の基準があるときは、これと同等の基準を満たすことが必要となること
共同認定は、これを受けようとする民間教育保育等事業者及び事業運営者の共同の申請により行うこととされています。
また、法第21条第3項において準用する第20条の規定により、共同認定を受けた民間教育保育等事業者及び事業運営者は、
・ 犯罪事実確認
・ 安全確保措置(早期把握、面談、児童対象性暴力等対処規程の作成(防止措置、調査、保護・支援)、研修)
・ 情報管理措置
を、共同で行うこととされています。 そして法第21条第3項において準用する第19条第4項第2号の規定により、これらの措置の具体的な役割分担については、あらかじめ、共同認定の申請書類に添付することとされています。
例えば、以下のような役割分担が考えられます:
業務内容 | 主体 |
---|---|
犯罪事実確認(書類収集・提出) | 事業者側 |
防止措置・リスク管理 | 運営者側 |
調査・相談対応の初動 | 双方協力 |
情報管理規程の運用 | 主に事業者 |
責任が分散されるわけではなく、認定取消などの際は両者に影響が及ぶ点に注意が必要です。
Q4. 認定を受けるにはどのような申請手続きが必要ですか?
✅ポイント
- e-Govで電子申請
- 標準処理期間は1〜2ヶ月
- 添付書類は実務内容を網羅
🔍詳細
申請は、法第19条に基づきこども家庭庁へ行います。通常の処理期間は1〜2か月程度ですが、補正が必要な場合は延長されます。
添付書類の主な例:
- 定款・登記簿
- 対象事業に関する資料(URL、パンフレットなど)
- 児童対象性暴力等対処規程
- 犯罪事実確認に関する誓約書
- 情報管理規程
- 欠格事由に該当しない旨の誓約書
共同認定の場合は、事業運営に関する役割分担表や契約書の提出も求められます。
法第19条第4項第5号(第21条第3項において準用する場合を含む。)に基づき添付を求める「民間教育保育等事業を行っていることを証する資料」については、法に掲げる民間教育保育等事業ごとに、ガイドラインにおいて示すこととされます。
✒️まとめ|認定制度の整備は「仕組み」と「証拠」の両立がカギ
日本版DBS(こども性暴力防止法)への対応は、「確認体制の整備」と「それを証する記録類」の両輪で成り立ちます。多くの事業者において、この制度をご存じない方も大変多いため、施行直前の混乱が危惧されます。 しかしながら、認定申請をしないことは「必要な対策を行っていないのではないか?」と周囲に誤解を与えかねないリスクも孕んでいます。ぜひ、専門家への早目のご相談を。
認定取得に向けた準備を丁寧にサポートいたします。
■ 行政書士事務所 POLAIRE(ポレール)
お問い合わせ先
TEL:096-288-2679
FAX:096-288-2798
MAIL:polaire@sp-pallet.net
※3営業日以内にご連絡差し上げます。
営業時間(完全予約制)
火・水・金・土 9:00~18:00
月・木 9:00~12:00
※日曜・祝日は休業日です。
夜間オンライン相談(完全予約制)
毎週水曜日 19:00~21:00(オンライン対応のみ)
※日中にお時間が取れない方のための予約制相談です。
ご予約完了後、オンラインミーティングのURLをお送りします。